2017年10月27日金曜日

自動車の修理後の評価損を認めた判決(大法院2017年6月29日判決)

事故により自動車が破損した場合、修理をしても交換価値が減少して評価損が発生することがあります。この評価損が損害賠償の対象なるかということが争われた裁判です。 
 自動車が事故によりエンジンや車体の主要な骨格部位などが破損する重大な損傷を負う場合には、これを修理して車両の外観や平素の運行のための機能的・技術的な復旧を終わらせたとしても、それによって完全な原状回復がされたとはいいがたい場合が生じる。事故の程度や破損部位などによっては修理後にも外部の衝撃を吸収、分散する安定性や腐食に耐える耐食性が低下し、車体強度の弱化や修理部位の腐食または騒音・振動の発生などによって使用期間が短縮されたり故障発生率が高くなるなどの使用上の欠陥や障害が残存・潜伏する蓋然性があるからである。
 それゆえ、自動車の主要骨格部位が破損するなどの事由により重大な損傷がある事故が発生した場合には、技術的に可能が修理を終わらせたとしても特別な事情がない限り、原状回復がされない修理不可能な部分が残るとするのが経験則に符合し、それによる自動車の価格下落の損害は通常の損害に該当すると言わなければならない。
 それにもかかわらず、修理可能性を主な理由として交換価値の減少による損害賠償請求を排斥したので、このような原審の判断には自動車の交換価値下落および損害発生の範囲などに関する法理を誤り必要な審理を尽くさず、判決に影響を及ぼす誤りがある。
 
単純に「自動車は事故歴があるだけで交換価値が下がるので評価損は損害になる」としてもよさそうなのですが、韓国では「不法行為によって物が毀損された場合、通常の損害額は修理が可能な場合にはその修理費、修理が不可能な場合には交換価値の減少額となり、修理をした後にも一部修理が不可能が部分が残っていた場合には修理費のほかに修理不能による交換価値の減少額も通常の損害に該当する」という大法院の判例があるので、これに矛盾しないように、「大事故であれば修理不能な部分が残るのが当たり前なので、大事故であれば評価損を損害賠償の対象する」と回りくどい言い方をしてるのだと思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿