2017年11月17日金曜日

文言侵害と自由技術の抗弁(大法院2017年11月14日判決)

 この判決は、特許侵害訴訟において被告製品ないし被告方法が特許発明の技術的範囲に属する場合であっても、当該製品ないし方法が自由技術である場合には特許侵害に当たらないと判断することができるとしたものです。
 特許侵害訴訟においては、特許発明が無効かどうかは争うことが原則としてできず、日本では文言侵害に当たる場合には自由技術の抗弁は認められないようです。今回の大法院で文言侵害の場合でも自由技術の抗弁が認められたので、日本と韓国で特許侵害訴訟の争い方に違いが出ることになるのでしょう。
 以下は、判決の一部抜粋です。



 特許発明が公知の技術である場合などを除外して特許発明の進歩性が否定される場合にも権利範囲の確認審判で登録されている特許権の効力を当然に否認することはできない。
 しかし、権利範囲の確認審判で特許発明と対比される確認対象の発明が公知の技術のみからなっている場合だけでなく、その技術分野で通常の知識をもつ者が公知技術から容易に実施することができる場合には所謂自由技術として特許発明と対比する必要なく特許発明の権利範囲に属しないといわざるを得ない。このような方法で特許発明が無効かどうかを直接判断せず確認対象の発明を公知技術と対比する方法で確認対象の発明が特許発明の権利範囲に属するかどうかを決定することで迅速で合理的な紛争解決を図ることができる。
 自由技術の抗弁の本質、機能、対比する対象などに照らしてみると、この抗弁は特許県侵害の有無を判断するときに一般的に適用されるものなので、確認対象の発明が結果的に特許発明の請求範囲に現れる全ての構成要素とその有機的結合関係をそのままもっている所謂文言侵害に該当する場合でもそのまま適用される。

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