2017年11月28日火曜日

周辺住民の反対だけで動物墓地施設の開発を不許可にできるか(水原地方法院2017年9月7日)

 動物墓地施設の開発に対して、近隣の体育館の利用者と周辺住民が反対していたことを理由に開発申請を不許可としたのに対し、裁判所が周辺住民が反対しているという理由だけでは不許可にすることはできないとしたものです。
 動物墓地施設は所謂嫌悪施設であり、そのような施設が近くにできることを多くの人が嫌がります。行政としては住民のために開発を許可すべきでないと考えたのかもしれませんが、施設を作ろうとする者にも施設を作る権利があるので、法律に定めがなければ施設を作れないように開発申請を不許可にすることはできません。
 行政の仕事は住民の福祉を増大させることだけではなく、権利と権利の調整もまた行政の仕事であると考えられます。
 以下は、判決の一部抜粋です。

 本件体育施設の利用客と周辺住民338名が本件申請による開発行為に反対していたとするが、多数の住民が反対するという事実のみをもって上の開発行為が周辺環境と調和をなしえないものであると断定してはよくなく、その理由をよく見て周辺環境との調和について判断しなければならない。ところで、上の338名の具体的な判断理由を把握するだけの証拠がない。もし、上の338名が動物葬式場に対する否定的な気持ちのせいで反対しているのであれば、動物葬式状は所謂ペットの死を哀悼する施設として必ずしも嫌悪施設または忌避施設ということはできないので、本件動物墓地施設の設置による本件体育施設の利用忌避などのような漠然とした漠然とした憂慮や可能性だけを理由に本件申請を拒否してはいけない。
 本件動物墓地施設が周辺住民に及ぼす影響も制限的である。
 本件動物墓地施設の規模が大きくない点、本件動物墓地施設の近隣土地がほとんど農地、林野、墓地で利用されている点、本件動物墓地施設の南側約500メートル地点に村落が形成されているが、本件国道によって地理的に断絶された位置にあって物理的距離だけを重視するものでない点がその根拠である。
 本件動物墓地施設が環境汚染や生態系破壊をもたらすものと認定する客観的な証拠がなく、やや否定的な影響があるとしても環境汚染および土砂流出の防止措置、遮蔽施設の設置などを命じることでこれを防止することができるものといえる。
 本件土地が自然緑地地域に属していることはそうである。しかし、第2処分事由は本件土地を都市の緑地空間の確保、都市拡散の防止、将来の都市用地の供給などのための保全する必要があるという点を明示的に処分理由としているといいがたい。さらに、自然緑地地域でも制限的な開発が許される点、本件土地は本件国道に接していて緑地空間の確保や都市用地の供給のために利用される可能性が低いと思われる点、自然緑地地域でも4階以下の火葬施設と葬儀場を建築することができる点などに基づいてみると、原告が本件土地を制限的な範囲で開発することで得られる私益が上の土地を保全しなければならない公益より大きいといわなければならない。

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