2018年1月17日水曜日

遺体が間違って火葬されたことに対する損害賠償請求(蔚山地方法院2017年11月16日)

 韓国は今では火葬が増えていますが、ついこないだまで土葬文化でした。本件は、土葬した遺体を掘り返して火葬にし、別の墓地に移葬しようとしたときに、間違って他人の遺体を火葬してしまったという事例です。
 火葬をしている日本では考えられない、韓国ならではの事件だと思いました。
 本件は、損害賠償請求のほかに遺骨が原告の父であることの確認を求める訴訟が提起されています。裁判所は原告が移葬するために遺骨が原告の父であることの確認を求める利益があると判示しましたが、遺骨が原告の父であったとしても直ちに原告が遺骨の所有権を取得するものではなく、埋葬する権利が認められるわけではないので、遺骨が原告の父であるという事実の確認を求めても事案の解決には至らないので確認の利益が認められないのではないかと思いました。
 また、自分の親の遺体を間違って火葬されたことに対する慰謝料が150万円というのは少し安すぎるのではないかと思いました。
 以下は、判決の一部抜粋です。

2018年1月16日火曜日

弁護士試験管理委員会の会議録の提出義務について(大法院2017年12月28日決定)

 本件は、弁護士試験に不合格した原告が不合格処分の取り消しを求めた訴訟の中で、弁護士試験管理委員会の会議録について文書提出命令を申請したのに対し、裁判所が会議録の一部について文書提出を命じたものです。
 行政に対して情報公開をした場合は文書の全部を公開しなければなりませんが、裁判の文書提出命令は書証として利用するために文書の提出を求めるものなので、裁判所は必要な部分だけを提出するように求めることができます。
 判決の内容自体は重要なものではないのですが、弁護士試験の不合格処分の取り消しを求めるために裁判をする時間があるなら、その時間に勉強すればいいのにと思った次第です。裁判をすることは実地訓練になるから、それはそれでいいのかもしれません。
 以下は、判決を翻訳したものです。

2018年1月12日金曜日

上場例外品目の指定が行政処分に該当するか(ソウル行政法院2017年12月8日判決)

 本件は、農水産物卸売市場の開設者が、仲買人が卸売市場法人を通さずに取引ができる上場例外品目として輸入ニンジンを指定したのに対し、卸売市場法人がその指定を行政処分として取消訴訟を提起したものです。
 仲買人がある品目を卸売市場法人を通さずに取引しようとするときは、その品目について許可を得なければなりませんが、それぞれの仲買人に対してどの品目を許可するかという手続を取るのが大変なので、品目を一括で指定して、その品目については当然に許可をするという制度になっていることから、一括で指定する行為も行政処分に当たるとしました。
 また、上場例外品目の許可を得るのは仲買人であり、卸売市場法人は許可の相手方ではありませんが、上場例外品目に指定されると卸売市場法人を通さずに取引が可能であり、手数料を得ることができなくなるので、利害関係人であるとして原告適格を認めました。
 日本で個別の処分ではなく、一括で指定した行為を行政処分と認めたものは、2項道路の一括指定を行政処分と認めた判例(最判2002年1月17日〕がありますが、これは処分の不存在の確認を求めたもので、一括指定の全部を取り消そうとしたものではなく、一括で指定した処分の中に自分の土地が含まれていないことの確認をしようとしたもので、本件とは事案をことにしています。
 最高裁の判例によれば、一括指定は個別の処分の集合的なものと理解することができるので、本件もそれぞれの仲買人に対する許可の集合的なものとし、それぞれの許可に対して取消訴訟を行うのと同じように一括指定に対して取消訴訟を行うことができると解釈したと思われます。
 以下は、判決の一部抜粋です。

2018年1月5日金曜日

行政訴訟で訴訟詐欺が成立するか(昌原地方法院2017年11月23日判決)

 本件は、課徴金の賦課処分に対して取消訴訟を提起したが、そのときに偽造した文書を裁判所に提出した行為が訴訟詐欺未遂になるとして起訴されたものです。
 裁判所は、詐欺に該当するかどうかを判断せず、行政訴訟では訴訟詐欺は成立しないとして訴訟詐欺未遂は無罪としました。
 行政が詐欺の対象になるかどうかでいえば、生活保護の不正受給について悪質なものは詐欺罪で有罪になっているので、行政から金銭を詐取する行為も詐欺に当たります。そうすると、行政訴訟でも訴訟詐欺が成立する余地があると思われます。
 なお、本件では判決の中で日本の判例は学説にも言及しています。
 以下は、判決の一部です。

2018年1月3日水曜日

分割後に分割会社に発生した債務について承継会社が連帯責任を負うか(大法院2016年7月22日判決)

 日本では会社に関しては会社法で規定していますが、韓国はまだ商法の中で規定しています。会社を分割する場合、新しくできる会社を承継会社、既存の会社を分割会社といいますが、分割会社の債権者を保護するために、原則として分割前に分割会社に発生していた債務については承継会社も連帯責任を負うように規定されています。
 本件は、条文の文言を広く解釈し、分割後に発生した債務であっても、分割前に債務の法律関係の基礎が発生していれば分割前に発生していた債務に含まれるとしました。
 本件は実質的に分割前に発生していた債務を更新したものなので、分割前に発生した債務と同じであると判断した方がよかったのではとも思いますが、契約の同一性を厳密に解釈し、条文の解釈によって事案の妥当な解決を図ったものと考えられます。
 以下は、判決の一部抜粋です。