2018年1月3日水曜日

分割後に分割会社に発生した債務について承継会社が連帯責任を負うか(大法院2016年7月22日判決)

 日本では会社に関しては会社法で規定していますが、韓国はまだ商法の中で規定しています。会社を分割する場合、新しくできる会社を承継会社、既存の会社を分割会社といいますが、分割会社の債権者を保護するために、原則として分割前に分割会社に発生していた債務については承継会社も連帯責任を負うように規定されています。
 本件は、条文の文言を広く解釈し、分割後に発生した債務であっても、分割前に債務の法律関係の基礎が発生していれば分割前に発生していた債務に含まれるとしました。
 本件は実質的に分割前に発生していた債務を更新したものなので、分割前に発生した債務と同じであると判断した方がよかったのではとも思いますが、契約の同一性を厳密に解釈し、条文の解釈によって事案の妥当な解決を図ったものと考えられます。
 以下は、判決の一部抜粋です。

 旧商法第530条の9第1項は「分割または分割合併によって設立された会社または存続する会社は、分割または分割合併前の会社債務に関して連帯して弁済する責任がある」と規定している。ここでいう「分割または分割合併前の会社債務」には、分割または分割合併の効力発生前に発生したか分割または分割合併当時にまだ弁済期が到来していない債務だけでなく、会社分割または分割合併の効力発生前にまだ発生していないがすでにその成立の基礎になる法律関係が発生している債務も含まれる。
 第1、2次信用保証約定の締結経緯および関連する貸付約定の内容など上のような事実関係を記録に照らしてみると、第2条信用保証約定は形式的には第1次信用保証約定と別個の契約であるがその実質においては主債務の与信期限が借り換えの方法で実質的に延長されたことによって保証期限など保証条件を更新したものといえるので、本件求償金債務の成立の基礎となる法律関係は第1次信用保証約定とこれを担保とした貸付契約によって分割合併前にすでに発生していたとみるのが相当である。よって、分割合併後に締結された信用保証約定にしたがって本件求償金債務が発生したとしても、前に見た法理に照らしてみるとその求償金債務は旧商法第530条の9第1項に規定する「分割合併前の会社債務」に含まれると解釈するのが妥当である。原告の信用保証約款で借り換えの方法で主債務の与信期限が延長される場合に信用保証条件の変更通知によって保証期限を延長することを許容していないとしても変わることはない。

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